ジャニオタが勉強してみた

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ミュージカル封神演義感想1(導入~申公豹戦~オープニング)

 

【導入部分】

真っ暗な舞台の中、ぼんやりと光がさして、主人公の太公望が浮かび上がって来る。
その瞬間『うわぁぁ、太公望が目の前にいる!!息をしてる!!生きてる!!動いてる!!』って衝撃が走った。
20年間ずっと大好きで何度も何度も原作を繰り返し読んで、読むたび毎回めっちゃ泣いて、太公望の仕草や言葉一つ一つが私の頭の中に息づいてて、太公望はずっと私の憧れの存在で、私の生き方の主軸みたいな存在なんだよ。
その太公望がこの世に存在するキセキ!!

そんな重い拗らせオタクだから、もう太公望が好きすぎて導入部分から号泣でした。

全キャラが舞台上に登場して、追い打ちをかけるような大迫力の群唱。
腹の奥に歌声が響いて身体が震える感覚を初めて感じた。
中でも聞仲のソロパートでは、聞仲役の人がベテランのミュージカル俳優さんなので、めちゃくちゃ歌がお上手なの。
一気に作品の中に引き込まれました。

レポで「女媧がいた」って読んだから注意深くニコ生見てたら、光が一瞬上に上がったかと思うと一気に下がって消える瞬間があるのね。
あれが女媧の表現なのかもしれない。

妲己ちゃんは喋り方がイメージ通り。
身長はもう少し高くてすらっとしてるイメージだったけど、とにかく歌が上手い!!
調べたら元SKEの方なんやね。
全然そんなことがわからないくらい、舞台女優さんらしい聞き取りやすい声でした。
ちゃんと「お米も麦もないならお菓子を食べればいいじゃない」っていう毒婦のセリフも歌ってたよ。

太公望が登場した序盤に決意に満ちた表情で小さく頷くシーンがあって、その頷き方から太公望の芯の強い部分が伝わってきて『ビジュアルだけじゃなく中身も太公望だよぉぉぉ』ってまた号泣した。
ただ、喋りだした瞬間『あれ?想像してた声と違う…』ってなって若干戸惑ってしまったんですが、表情や動きがめちゃくちゃ太公望ですぐに気にならなくなった。
その少し掠れた渋めの声のおかげで、最後の聞仲戦に迫力が増すんだと思う。

太公望が打神鞭を振るう時は、手だけじゃなくて、足も上げて体全体で打つから躍動感が半端ない。演出家さんに感謝。
あのウサ耳頭巾もちゃんと落ちずにあるし、靴もフジリュー版の大きな靴でした。

太乙さんが出てきて、封神台は自分が作ったって言う時に、ちゃんとカメラ目線をしているのも原作に忠実やったよ。
ただカメラ目線については演出上で何も触れられてないから、原作を知ってる人だけが気づいてニヤッとする演技かも。
ニコ生では固定カメラなのでわからなかったから、DVDではちゃんとカメラ目線で太乙さんのショット見たいなぁ。
高所恐怖症の特徴は特に描かれてませんでした。その設定も入れちゃうとごちゃごちゃしすぎるからかな。

太公望が四不象に乗るシーンではスモークをたくことで雲の合間を飛んでいることがわかる演出でした。
作品の中で四不象に乗るシーンがこの後も出てきて、その都度その都度太公望の表情が全然違ってるので、橋本君の演技力の高さを感じました。
最初は「仕方ないからしゃしゃっとやって解決しちゃお」って軽い感じ(けど過去の事があるから本心は違うけどそれは全く見せない)なのが、苦しみを含んでたり前向きに明るかったりする表現が見れてすごくよかった。

  

【申公豹戦】
布を使ったシルエットからの、落雷を想像させる音と光の演出が素晴らしい。
太公望が申公豹へ『悪趣味』と言ういじり方は日によって違ってたけど、申公豹と太公望のやり取りの空気感は原作通りでした。
申公豹戦といえば、太公望が村を守ってなおかつ申公豹の一矢報いるところが名シーンだと思ってて、そこもきちんと表現されていた。
四不象が「(攻撃を)かわすっすよ」って言った時に太公望が一瞬後ろを振り返って『…っ!』って村の存在に気づく視線の演技があって、そこから「いや、かわさぬ!」って言うあのシーン。
それまでの太公望はいつもふざけてて申公豹にも「強いならもっと強そうな恰好をせぇ!!」とギャイギャイ文句言ってるのに、そこから一気に真面目なシーンに変わるんですよ。
表情も声のトーンもガラッと変わって、もうそれがかっこよくてかっこよくて。
原作で何度も繰り返し読んでた大好きなシーンが、目の前で忠実に再現されて、その時の太公望の表情を、切り取られた漫画のコマ割りじゃなくて、全部自分の目で流れて動きを見ることが出来るありがたさ。
2.5次元の魅力ってこれか!!』ってなった瞬間でした。

しかも殷王家の墓のくだりもきちんと描かれててさ。
家族や姜族が虐殺されたことによって生まれた太公望の決意。
太公望が歌に乗せて「安全な人間界を作ろう」って戦う理由を歌うんだけど、この曲が最後の聞仲戦でも歌われるのです。
OPで聞くこの曲と聞仲戦で聞くこの曲の重みが全然違ってて、太公望の信念が確固たるものに変わったことがわかる表現でした。
物語の中でも太公望の過去を繰り返し物凄く丁寧に描いてくれて、だからこそ原作で感じた太公望の魅力がミュージカルでも伝わって来た。

なおかつこの太公望のシーンの裏で、楊戩が封神計画に関わっていく様子が同時進行で描かれてるのよ。演出家の吉谷さんは、こういう同時進行の演出がお上手な方らしい。

太公望と楊戩って絶対切り離せない重要な関係性を抱えてるから、二人がこれから関わりあっていく未来を示しててたまらなかったです。


【オープニング】
『た、たいこうぼうが、踊ってる
ぎゃー、太公望がアイドル!
やばい、めちゃくちゃかっこいい!!
そんなの聞いてない。
太公望がめちゃくちゃイケメン顔で踊って歌うなんて聞いてない!!
おかしい!こんな世界が存在していいのか?
もっともっとみーたーい!!
土下座するから見せてください!
いくら課金したら私の師叔は踊ってくれるんですか?
いくつ丼村屋のあんまんを渡したらあの太公望が踊ってくれるんですか?!
もう、ドルヲタ歓喜
ってなった(笑)


各キャラの説明も含めた歌詞になってて、その後の流れもなんとなく理解できるようになってた。
中でも太乙さんが「仙界より降り注ぐ力を集めその行く末を見定める」って歌詞なのが『崑崙山2のことを指してる?!』って一瞬頭をよぎったけど、よく考えたらこれって封神台のことだね。

楊戩の「君と共に見るべき未来」って歌詞が、楊戩の隠された秘密とか太公望に出会って変わっていく様子を思い出してめっちゃ胸にグッとくる。
楊戩の中で太公望は自己肯定をしてくれた絶対的な存在で、だからこそ太公望や仲間を守るために単独で金鰲島に乗り込んで、自分が妖怪であることも受け入れられるようになるわけやし。
仙界大戦のあたりも舞台で見たいよぉー。普賢くんにも会いたい。

陳桐や王貴人の話がカットされたのはやっぱり寂しかったです。
封神演義は宝具の特徴を活かした頭脳戦が見所だと思うし、陳桐を倒したことで妲己太公望の存在を認識する大事なエピソードなのです。
また「甘い薬しか飲まないー!」ってダダをこねる太公望の幼さ、誰一人傷つけずに助ける知略の高さを印象付けるエピソードでもあると思ってます。
火竜鏢を入手するだけの戦いではないの。

王貴人戦も、宝具の特性を活かしたズル賢い戦い方がきちんと描かれてるし『民に被害を出したくない』っていう太公望の戦い方の姿勢がわかるエピソードなんだよなぁ。

と言いつつ、あの流れではやっぱり蟇盆がメインエピソードだから、時間の関係上蟇盆がきちんと描かれていたらそれは物語上問題ないと思って納得してます。
蟇盆が描かれる中で「出来るだけ犠牲を出したくない」っていう太公望の優しさも、「妲己さえ倒せれば術の効果は切れて手下どもは自然崩壊する」→「一人では倒せないから仲間を作ろう」っていう考え方に変わるのもちゃんと描かれていたしね。