ジャニオタが勉強してみた

生粋のジャニヲタが、人生のお勉強をするブログ

舞台「文豪とアルケミスト 戯作者ノ奏鳴曲(ソナタ)」の感想(R5.3.8追記修正)

【感想】
 「おださくの成長物語」と思わせつつ、観る人が無頼派の存在に「救われる物語」ではないか。
 つまり無頼派がキリストで、私たちが信仰者。ところどころにキリスト教要素が含まれているのは救いの物語だからなのかも。

 坂口安吾の「堕落論」を取り上げていることからも、この作品の本質は安吾の「堕落論」にあるんだと思う。人は弱くて脆い。些細なことがきっかけで他人を信じられなくなる。そして当然のように堕落していく。しかしその底辺から這い上がる力があるのが人間であり、這い上がる時にこそ価値あるものを掴むことが出来る。深い闇に堕ちても、何度でも這い上がることが出来る。そういった可能性や「救い」をキリストである無頼派が提示してくれる作品だと思いました。

 だって客席に向けて「堕落論」を朗読するんだよ?しかも、そのシーンで客席の照明が点灯するんだよ?あの言葉と光は無頼派や文豪達からの救いの光なのではないか。私はそういう風に受け取りました。
 それに、おださくと安吾のシーンで「(おださくが)キリストに見えてきた」というセリフもあったし。
 この作品は人間をありのまま受け入れてくれる「救い」の物語というのが、私なりの解釈です。


【様々な伏線や気づき】
・冒頭の無頼派の説明セリフ
 おださくが一発目のセリフで「無頼派とは:戦後文団の革命的集団。反権力、反体制、既成概念を批判し、時代の象徴となったひと群れの作家たち」と辞書的説明をするんだけど、これだけじゃ正直よくわからない。
 しかもおださくも、そんな大層なものじゃない、みたいな風に言ってるし。
 この独白があるから、観る人の頭の中に『じゃぁ、無頼派っていったいどんな作風なの?』とハテナが生まれる。
 結果『作品を集中して観てみよう』って思わせるように仕組まれてた。
 そして物語が進んでいく中でその曖昧な無頼派の思想が、徐々に明確化されていって、最後に確固たる形となって観る人に訴える流れ。ちゃんと『無頼派ってそういう集団なのか!』という答え合わせもきちんとさせてくれるし、ストーリーの作り方が上手いなぁと感じた。

無頼派プロレタリア文学
 無頼派における太宰治プロレタリア文学における小林多喜二。二人はそれぞれの支柱になる存在。その二人が不在だから、無頼派は脆くバラバラになってしまうし、プロレタリア文学蟹工船は侵蝕される。二人が不在というデメリットを上手く使って2本軸の物語にしていた。
 あと、おださくの「陽の目も当たらん人も生きててええねんで」と言うセリフは、プロレタリア文学における「搾取される側の人間」への言葉じゃないか、と思った。
 それプラス『憧れていた太宰から気にかけてもらえなくても生きてていいんだ』というおださくの自分自身に向けられた言葉なのではないか、と思った。
 文劇は文豪の作品だから、どうしても言葉言葉に『どういう意味があるんだろう?』って思いながら観劇してしまう。

・観客が舞台の一部
 客降りが出来るようになったのを活かして、ブルズさんが客席を船に、観客を船の乗組員に見立てていた。吉谷さんらしい演出。
 さっき書いた、朗読シーンで客席の照明が明るくなる演出は文劇3のオマージュだったし、こういう客席を巻き込んで初めて成立する吉谷さんの演出めちゃくちゃ好き。
 ちょっと気になったんだけど、布が綺麗に真っ直ぐになってた時と、上下逆になってくるっと一回転してる時があって、あれはブルズさんが持つ方向を間違えちゃったからなのかな?って思った。
(大阪公演を見た追記)大阪では演出が変わっていてうまく持てるような演出に変わっていたから、あれは意図したものではなかったことが判明した。

蟹工船
 文劇6で蟹工船を選んだのはいろんな理由があると思ってる。
 1.国家主義を否定する作品を館長が潰したかったから。
 2.ストーリー展開が一緒だから。
 ※蟹工船は虐げられた自分たちを解放しに来てくれたと思った帝国海軍により逆に連行されるのね。今作では、前半部分でしげじが「話し合おう」って言って裏切られるし、後半部分でも潜書した自分たちを助けに来てくれたと思った白秋(の姿をした館長)に裏切られてた。
 3.文劇3の太宰を彷彿させるから。
 ※指示に従順な乗組員と、文劇3で最後まで抗い続ける太宰治の対比も描かれていた。
 4.ストライキの成功と失敗が一緒だから。
 1度目のストライキ=「不良少年とキリスト」の潜書は失敗に終わるけど、2度目のストライキ=おださく覚醒後は成功するが絶筆者も出る、という点も似せてるのかなと思う。
 演出としては、蟹工船の侵蝕シーンと無頼派の語らいシーンを同時に進行させることで、より一層2つのシーンの対比が表現されていた。しかもこのシーンで太宰やオダサクがプロレタリア文学の「文学で社会と戦う」姿に憧れてたという事実も語られるし、ここのシーンは流し見しちゃいそうだけど、結構重要。
 こんなに伏線を含ませた蟹工船を選んだなるせさん、天才か!

・ぎゃわずの存在
 
心平が「蟹工船」に潜書したとき、ちゃんとぎゃわずも乗組員に襲い掛かってる。その時、乗組員が頭を押さえ洗脳が解けたような、ほんの一瞬、正気に戻るような演技をブルズさんがされるの。あのシーンがあるから、後半に出てくる「青春の逆説」の館長死闘時に、ぎゃわずだけ洗脳が効かなくて、光の玉を壊す伏線になってると思った。

・しげじの優しさ
 
しげじが乗組員と戦っている時、やられそうになる乗組員が恐怖に怯える表情になるの。それを見たしげじが仕留めるのを躊躇するシーンがあって、結局他の乗組員に後ろから斬りつけられて、恐怖に怯えた乗組員からもやられるんだけど、あそこはしげじの優しさが垣間見れたシーンだなと思った。しかも、その後のラスボス戦で、しげじの優しさゆえにとどめをさせないから、結局自分やすなおを傷つけてしまうという、伏線にもなってるなと思いました。

・おださくの孤独
 「蟹工船」から戻って来た檀を含めて、無頼派の三人で話をしているシーン。配信ではセット上段、補修室にいるプロレタリア組がカメラで抜かれている裏で、セットの上手側階段下では無頼派三人がずっと昔話に花を咲かせているところは現地に行った人は見てほしかったポイント!最初は三人でわいわい話してる(おださくが檀に質問して、それを安吾が聞いて補完している感じ)なのが、安吾と檀が盛り上がり始めたあたりから、少しずつおださくの反応が鈍くなって、表情が翳ってくるのよ。そしてそっと腰を上げて、ほんの少しだけ二人と離れたところに座り直す演出がめちゃくちゃいい!おださくの孤独を感じられて非常に良いのです!!
 照明が当たらないから前列でないと三人の表情までは見えないのが勿体ないぐらいの陳内さんの演技でした。東京初演では気づかなかったから、どこかでここの演出は足されたのかな?それとも東京初日からあったのかな?

・最後の晩餐
 1回目に「ダヴィンチスタイルの最後の晩餐」って言ってセットが運ばれてくるときに、イヤな予感がしたんだよ。舞台セットにも「不良少年とキリスト」ってあったし。
 それに白秋の登場タイミングも一人だけ後からで、初日に見た時、私ですら違和感を感じました。だって、白秋ならもっと最初から出るはずなのに、開演後30分過ぎてから登場するなんてタイミングが遅すぎるな、と。
 きっと檀も白秋に対して最初から違和感を持ってて、そこであの食事シーンで鎌をかけたんだろうなぁ、と思った。
 「鰻の蒸籠蒸しもお好きなんですよね」って振った時の反応を見た観客が、『ん?白秋さんがなんかおかしいぞ』っていう違和感をここで植え付けてくるあたり、ストーリー展開が上手いよね。
 2回目の食事シーンではちゃんとブルズさん含めて13人いて、白秋がユダのポジション(左から5番目)に座っているのも凄くこだわってて好き。

・館長のヒント
 白秋さんは館長の思念なのになんで「侵蝕者は会派の合流を阻止する」っていう、相手にとってのヒントを与えるんだろうってずっと疑問だった。
 でも、このセリフを入れることで、観る人に『今後、会派を離れ離れにさせるのが侵蝕者のやり口か』って思わせるためだったんだろうね。館長、ヒント与えるなんて優しいじゃん、って思ったけど、館長は性格が悪いので、ヒントを与えてその反応を見て、今後の殺し方を考えて楽しんでたのかもしれない。

・館長の計画性
 安吾を真っ先に狙うの計画的過ぎる。だって、安吾とおださくを離れさせて、おださくが精神的に弱っている隙をついて、疑念の種を植え付けてくるんだよ?安吾があの場にいたら「檀も無頼派に決まってるだろ」って笑い飛ばしてるはずなのに。太宰とは別の意味で無頼派の緩衝材的として一つにするのが安吾の役割だと思った。その安吾からおださくを離れさせるために、しかも安吾やおださくの精神的支柱である太宰について書かれた作品を侵蝕するなんて。そんなんされたら無頼派バラバラになってしまうやん。やり方が計算されすぎてて酷いし怖すぎる。知恵をつけすぎだよ、侵蝕者!

・文劇6と3の嗜好品
 ずっと公式さんがアップしてた、白秋さんがバー「ルパン」でお酒を飲む写真。観た人ならわかると思うけど、白秋さんがあのグラスで飲む写真のシーンは存在しないのね。だからずっと違和感があったんだけど、吉谷さんが「レア写真」って言ってたので、途中で演出を変えたんですね。
 嗜好品という観点から文劇3にも言及すると、3ではマウスシールドがあるからヘビースモーカーの芥川が煙草を吸えないというちょっとコミカルなシーンがあります。でもあそこはコミカルに見せかけて、実は奥深いんじゃないかと思ってる。文劇3のブログにも当時書いたけど、あのシーンは「嗜好品=エンタメ」を国が否定する暗喩なんじゃないかと解釈しています。
 だから館長も恐らく嗜好品であるタバコは一切吸わない。なのにおださくと同じ嗜好品であるお酒を飲む写真はやっぱり違和感があるので、演出を変えてくれて解釈が一致した。
 上記の理由から、白秋が飲んでいたのは嗜好品のお酒ではなく、キリストの血である葡萄酒(=文豪の血かも)を呑んでるんだとしたら、館長、相当、悪趣味…

檀一雄
 今作における一番重要人物。料理も出来て男気もあって危機管理能力も高い。マジスパダリ。でも太宰や安吾と仲良かったせいで陥ってしまう悲しい状況は観ててつらかった。
 おださくに犯人扱いされた檀が安吾に気持ちを吐露するシーンは、周りから異端児扱いされる檀にとって、安吾は自分を理解してくれる大切な人なんだな、っていうのが伝わってきた。あのシーンの赤澤くんの演技が上手いんだわ。
 太宰にも先に逝かれ、おださくと安吾と出会ったのに二人は絶筆するし、檀の役回りが辛すぎる…檀に感情移入して見たら、また違った見え方ができる作品になるんじゃないかと思った。檀視点の物語を観てみたいかも。文劇5の久米正雄から見た芥川みたいな感じで。

・晩餐のテーブル=棺桶
 13人が食卓を囲むシーンでは、既に3人の無頼派がバラバラになっている状態なので、テーブルが3卓出てくるんだと思う。白い布に包まれたあのテーブルがどこからどう見ても、棺桶にしか見えないのよ。そして「不良少年とキリスト」「青春の逆説」が侵蝕されたときは、常に並べられているテーブルが2卓なんです。あれはテーブルであり、なおかつ館長が準備した棺桶だと自分なりに解釈している。

・飛び出るナイフとフォーク
 テーブルと言えば、安吾が投げたナイフとフォーク。おださくが幻覚に溺れ、白秋さんに銃口を向けられた時に、安吾が助けるあれです。友達がずっと「あの仕組みがわからない」と言っていたので、何度も足を運んで私も注視してみました。
 結論としては、小さな穴が空いてて、そこから高速で飛び出る仕組みになってるっぽい。前列に座ってしまうと前過ぎて見上げる感じなのでよくわからないけど、後列に座ってガン見したら、その二つのヵ所だけ微妙に茶色っぽくて、細工が施されているように見えた。安吾は二刀流だから、ちゃんとナイフとフォークを両方投げる辺り芸が細かいなと思いました。配信でもブルズさんの動きとカメラワークでうまく隠してるけど、穴が開いてたね。

・青春の逆説
 「青春の逆説」がこの作品で出てきたのは、豹一の成長とおださくの成長を重ね合わせているからかな。だとすると豹一の女性不信はおださくにとっての檀への不信感。豹一に子供が出来て父となったことで女性不信が無くなったことは、つまり、おださくにとっての檀への子供みたいな嫉妬心が無くなって大人になったってことだと解釈した。
 あと、考えられるのは、国が発禁にした作品なのにまた存在しては困ると判断して侵蝕したってことですか?
 ここのシーンでブルズさんが白い布を抱きかかえてるんだけど、それが赤子のようで、文劇3で中也が白い幕を亡くなった赤子に見立てて大事に抱きしめるシーンを思い出しました。

・文劇3と文劇6
 館長の思念が白秋の形に化けて蘇ったのはわかるよ。
 わかるけどさぁ、3で白秋さんのあの、あの、セリフを!あのシーンと全くおんなじ描写で、館長の最後を描くのエグくない?
 3との対比なのはわかるけど、同じビジュアルの白秋さんだから、心がぐちゃぐちゃにさせられたよ。
 佐藤さんの演技力が凄すぎた。佐藤さんの演技力と言えば、館長の時と最後に出てくる本物の時の喋り方が絶妙に違うのも素晴らしかったです。
 館長の時は、セリフがぼんやり靄がかかったような話しぶりで、あの特徴のある語尾も流し読みみたいになってるんだけど、本物の時は言葉が立っていてキレがあるし、語尾もしっかりしていた。すごく聞き取りやすくて『これぞ北原白秋!文劇3で出会った白秋先生だぁぁ』ってなった。会場だとわからなかったけど、配信だとしっかりマイクで音を拾うからすごくこの違いが分かりやすかった。
 あとねぇ、館長との戦闘シーンで文劇3のテーマソング流す演出、誰が考えたよ?あの曲を聞いた瞬間、3を現地で見た衝撃と光景が呼び起されて、地獄に突き落とされたわ!
 勘弁してくれ……好き過ぎる(笑)
 細かい演出で好きな点としては、文劇3で嬲り殺す闇の中のかまいたちとして表現されていたライトセーバー。今作でもライトセーバーで切り刻まれておださくが致命傷を負うあたり、館長の存在を感じさせた。しかも檀が使っている剣を模した形で攻撃するのが、また悪趣味…
 「青春の逆説」が侵蝕される時に、赤い紐が使われているのも文劇3を彷彿させたし、文字にまで絡みつくように紐が巻き付けられることで、そこまで侵蝕が進んでるんだ、と感じた。そのうえまさか、痛めつけるための小道具になるとは…ね。吉谷さんがパンフレットでも書いてたように、文豪が傷付けられればられるほど、観る人は昂るのをよくわかってらっしゃる。
 それにしても、館長を白秋の恰好にして登場させるのは、なるせさん、上手いトリックだなぁと思った。だって、文劇3の白秋さんと言えば「善」の塊みたいな人。最後まで己の信念のために、文化芸術を守るために館長と戦った人。その人がまさか館長だったとは思わないじゃない?観る人の「白秋さん=善人」という無意識の刷り込みを利用したストーリー展開だなぁと思いました。

・文劇3の影
  これは大阪でじっくり見て把握できたのですが、最初に白秋が登場するとき、ブルズさんが左右で土下座のお辞儀をしています。おそらく室生犀星萩原朔太郎を意識してるのかな。文劇3に出ていたそれぞれのキャラの武器をブルズさんが持ってて、白秋が出てきたときおださくと安吾にその武器を向けるのね。最初は白秋先生が文劇3で戦ってたときの説明をしているから、その補完だと思ってました。でも、まさかその時から白秋先生が館長という伏線が張られていたとは…
 しかも「青春の逆説」で白秋に扮した館長が潜書してきたときに出てるブルズさんの影よ。初日観た時は『乱歩と中也がいた』ぐらいにしか気づけなかったけど、しげじには煙草をふかした芥川先生と鞭を持った乱歩が。直にはアクロバットする犀星と両手持ちの朔太郎が。心平には帽子を被って酒瓶を持った中也が、攻撃を仕掛けてるんだよね。しかもこの時、檀は「無頼派でもない、帰る場所もない、ただの根無し草なんだよ!」って言ってるところから、本来仲間であるはずのおださくと安吾と太宰の影に攻撃を受けるの辛すぎる。

・館長と無頼派
 「堕落論」が気になり過ぎて、概要だけですが通読しました。戦時中の統制から解き放たれて堕落し、そこから個々の力で這い上がるのが人間の本来の姿(意訳)みたいなことが書かれていた。
 全体主義で国家の概念を持つ館長と、個々の力を信じる無頼派とはそりゃ相容れないわな。

・太宰とおださく
 「織田くんの死」については、何度も繰り返し読みました。舞台の前半でおださくが子供みたいに檀と太宰の関係に嫉妬する姿を丁寧に描いていたから、太宰のあの手紙を聞いて、おださくが大人になり一歩を踏み出す(自我を取り戻す)のがよりカッコよく見えた。
 「不良少年とキリスト」に潜書して、おださくが太宰の幻影と戦う時、あのシーンで読まれる文章は「織田くんの死」にはない文章なの。太宰はおださくのことを『哀しい男』と表現していたのに、あのシーンでは『明るいおださく』という表現をされていたので、あの太宰は侵蝕者が化けた幻影ということがわかった。でも薬物で幻影を見ているおださくには分からないのが観ていてつらい。

・圧倒的太宰の存在感
 檀が太宰の事を想いながら館長と対峙するのと同時軸で、堕落に堕ちた安吾とおださくのやり取りが進んでいく。両方の時間軸を同時に見せるのが吉谷さんらしい演出だなと思った。
 しかも、檀も安吾とおださくもみんな太宰の事を想っているから、二つのシーンで両方から太宰への思いが溢れてくるの。とにかく太宰への情がすごいんだよ。太宰がいないのに太宰の圧倒的存在感を出す魅せ方がうまい。

・熱海事件
 檀一雄と太宰といえば、あの熱海事件!これを取り上げてくれたのが嬉しかった。あと二人の心中事件は、安吾の「不良少年とキリスト」にあるフツカヨイに繋がるのかな。そして、安吾曰く太宰は誠実な男なので、フツカヨイ的な心中相手におださくは選ばなかった。それが「織田くんの死」を読んでなんとなく察することができた。「織田くんの死」はすぐ読めるから、未読の人はぜひ読んで欲しい!「不良少年とキリスト」も短いので、よければこちらもぜひ。

・元気マシマシドリンク
 おださくが飲んでたあのドリンクは、史実的にどう考えてもヒロポンでは?心平も「それ、飲んじゃダメなやつじゃ」って言ってたし、幻覚が見えるのも副作用なんだよね。安吾は史実でもその事実を知ってるので、二人のシーンの時にだけあのドリンクは登場するんだと思ってる。
 あと「青春の逆説」が侵蝕されて、下手側の階段を降りるときに飲み「五臓六腑に染み渡るー!」って言うシーンの時。あれ、ほんとに中にお水か何か入ってるんだね。飲んだ後のセリフを言う時に、口から水が零れ落ちる事で、おださくの薬物中毒っぷりが生々しく表現されていた。あの描写があるから、その後の堕落して、幻影に魅せられる姿がよりリアルなんだと思う。

小林多喜二の最後
 史実では「特高警察による拷問死」と書かれていた。一撃ではなく嬲り殺す様子は館長のやり方と一緒だったし、特に下半身が悲惨な状態だったらしく、しげじが「下半身の感覚がない」と言ったのは、多喜二に似せて拷問みたいに攻撃されたからか、と思うと史実に基づいた描写で制作陣のこだわりが凄いな。
 あと、館長と言えば赤い紐。史実でも「首にはひと巻き、ぐるりと細引の痕がある」って書いてて、しげじが真っ先に館長特有の赤い紐で締め付けられてたのはここも意図した演出なんだなと思った。白秋さんの首から下げた紫の紐も最後には赤になるし、館長の性癖をバチバチに感じる。

・客席の照明が照らされるタイミング
 「堕落論」を朗読するシーンと最後の「文学がある限り~」を客席に向かって訴えかけるシーン。文劇3で朗読するときに客電がついて光が差し込むシーンのオマージュだなと思った。観客が「蟹工船」の一部になったのもそうだし、観に来てる観客もちゃんと舞台の中の大事な役割を担っていて、観客が入って初めて成立する舞台。
 文豪たちが言葉を届けることで、観る人の心に希望を生み出すのは、まさしく文劇らしいなって思ったし、この演出は劇場に足を運んだ人しか体験できない、たまらん演出でした。やっぱり舞台は生が良い。

・「不良少年とキリスト」の浄化
 おださくが安吾に太宰のマントを被せて「不良少年」「キリストに見えてきた」のやり取りがどうしても違和感しかなくて理解できなかったの。唐突過ぎやしないか、と。でも吉谷さんのnoteを見て納得しました。「不良少年とキリスト」が浄化成功したことをあの粋なやり取りで表現してたのか!私は勝手に、安吾が堕落した先で「織田くんの死」を読んで、太宰の記憶を思い出した=浄化は成功した、と思ってたんだけど、そういうことね。詳しくは吉谷さんのnoteをご覧ください(笑)
 https://note.com/koutaroh_/n/nb7b30b585fdd

・ブルズさんの功績
 安吾鍋&心平粥や檀流クッキングのくだりの時に、セットの上段でやり取りするアンサンブルさんの動きがすごく好きなの。配信だと檀が抜かれるから映ってなくて悲しいけど、現場だとついついそこに目が行っちゃう。おどろおどろしい侵蝕者を演じた後にコミカル調の演技をするブルズさん。布や武器も操り、セットにもなり、文豪の心情も表現するブルズさん。やっぱり吉谷さんの舞台にはブルズさんがいてこそ成り立ってる!開演前と後のアナウンスがブルズのまっちーさんがやってると聞いて、開演前から我々は侵蝕されて、観劇後も侵蝕され続けているのか、と気づき世界観の作り方が素晴らしいと思った。

・最大の謎
 本物の白秋先生は一体誰を待っているのか。いつまで絶筆した文豪たちを導いてくれるのか。それが文劇7に繋がるの?いや、でも3のあとの4は全く別世界だったし、6で一旦点を置くのであれば、7はまた違う切り口になるのかもね。自然主義も深堀りして欲しいし、白秋さんだから詩人組も見てみたい。

・個人的に好きなセリフ
 オープニング直前でおださくが言う「堕落にかて、それなりに意味はあるんやで。なぁ、安吾」のセリフが好きすぎるんだが!ストーリーを知ってからだと、この言葉の深さに胸がギュッとなるし、そして、語尾の「なぁ、安吾」がポイントなの!
 最後に出てくる、安吾と檀が背中合わせでおださくを想う回想シーンの「なぁ、檀」とリンクさせててヤバくない?無頼派の絆を感じられるめちゃくちゃいいセリフだと思った。

 

【細かすぎる好きな点】
・おださくと安吾が飲むお酒
 中原中也が飲んでるお酒には特にラベルがあるわけでもなく曖昧なのに、二人が飲む日本酒にはきちんとラベルに「越の露」って書いてたの。前列に入った時にガン見した。それで気になって調べてみたら、安吾の親戚が「越の露酒造」さんというところで、時期によっては今も安吾ラベルの「越の露」という日本酒を販売しているらしい。今すぐ吞みたい!!
 あそこでお酒を酌み交わす二人のやり取りが日によって毎回若干変わってて、個人的にはどっちかが『もう瓶にお酒が残ってない』みたいな動きをしていて、どっちかが自分のグラスに入っているお酒を分けてあげる日替わりシーンが好きでした。
 ってか、その二人がはけていく時、光る球を安吾が触ったら光が強くなったの。潜書してるプロレタリア組+檀&心平と、堕落してるおださく&安吾との対比がうまく表現されているなぁと思った。

・檀の握りしめたこぶし
 おださくが檀のことを裏切り者だと思い込んじゃってる中、「青春の逆説」が侵蝕されてしまうシーン。檀は潜書しておださくと無頼派を助けたいのに、その直前のシーンでおださくと言い争いになったから、おださくは自分に潜書して欲しくない。その檀の中にある葛藤が、強く握りしめられた拳で表現されてました。赤澤さんの細やかな演技力がすごいなぁと思った瞬間でした。もちろん偽白秋との戦闘シーンはすさまじいんだけど、こういうちょっとしたシーンできちんと演技される方なんだなぁと思いました。

 

【大千穐楽の感想】
 陳内さんの演技が、いつも以上に一層こまやか。かつ大胆になってた。笑うシーンは全力で振り切ってたし、怒るシーンも迫力が桁違いだった。個人的に一番良かったと思ったのは潜書するシーンで『怖いし、不安。けど、戦う』という微妙な心の機微を、絶妙な表情と動きで表現されていた点。あの複雑な感情が今まで観てた中で一番うまく表現されていたなぁと感じました。
 それに、悲しみや不安を抱えつつ、太宰の面影を追い求めながら成長していく姿がめちゃくちゃ伝わって来たよ。

 あと、椅子が…すなおくんが間違えて?晩餐の時に最後の武器に使う持ってきてはいけない椅子を持ってきてしまい、その瞬間壊れて、おださくに笑いながら怒られつつ、こそっと壊れた椅子をもって裏にはけて行ってたよ。
 それがあったから、最後の椅子で戦うシーンでは、なかなか椅子が壊れなくてちゃんと椅子が壊れるのかヒヤヒヤしながら見てしまった。あそこは椅子が壊れるタイミングによって安吾とおださくのやり取りがその場その場で日替わりになる阿吽の呼吸を感じられて好き。

 最後の各キャストさんのコメントについては敢えてブログでは書かないようにします。配信や円盤を見て素敵な座組だったんだな、と感じてください。私はあのみんなで支え合ってるコメントを見て泣いたよ。ちなみに配信でもちょろっと映ってたけど、マヒロさんの異変にすぐに佐藤さんが気づいて、隣の赤澤さんに声かけて教えてあげてた。
 それと、拍手が鳴りやまず最後の最後に陳内さんが登場してくれる時、佐藤さんも上手からちょろっと出そうになって、後ろを振り返って誰もいないからすぐに引っ込んだのも現地でしか気づけない点だと思うので記しておきます。

 

【東京初日から大阪にかけて変わった点】
・鰻の蒸篭蒸しシーン
 檀がカレーをふるまって白秋さんに「鰻の蒸篭蒸し」の話をするとき、東京だと上手の椅子に座ったままだったのが、白秋さんの後ろに立って話しかけるようになってた。おかげで白秋に疑いを持つ檀の表情がよく見えたし、動きを付けることで観てる側も『ん?』って印象に残ったシーンに昇華されてた。座ったままだと、どうしても上手側の座席の人は檀の疑念を持つ表情が見えなかったからありがたい。

・布の使い方
 私が『あれは演出なの?』と疑問に思っていた、布のくるんと一回転するのが無くなってた。東京では布をかたまりの状態でブルズさんが持ってきて、舞台上で広げてた気がするから、持ち手が逆になっちゃうときがあったんだよね。でも大阪では各々が最初から布の端をもって舞台上に出てきていたので、上下逆に持って一回転することがなくなってました。
 そして客席を海にする表現。東京のステラボールだとセンブロの横を布を持って歩くだけだったのが、大阪ではセンブロの上を布が通っていく演出に変わってた。
 大阪初日、センブロ2列目だったので、いきなり頭上を布が通って行って何事かと思ったよ。でも2回来るから海に潜った感じがしてめちゃくちゃよかった。後列に入った時に全景を見てたら、結構後ろの通路まで布をもったブルズさんがやってきてて、客席が船になり、観客が乗組員になる臨場感や没入感が出てすごくよかったです。吉谷さんの演出好きだ―。
 あと、個人的に森ノ宮ピロティホールで好きなのは、侵蝕されたときに、本の文字が横の壁に照明で照らされてぐるぐるしながら消えていく演出が凄く好きです。あれはピロティ、しかも中列以降にしか入らないと体験できない感覚。

・おださくが太宰に心中を誘われなかったシーン
 拗ねたおださくに安吾が「おださくは生きて生きて生きたかったじゃねーか」って言うところ。あそこ東京でも心臓の部分押さえてたっけ?史実ではおださくは自殺じゃなくて結核で亡くなったのね。だから生きることへの執着があったんだと思う。そして太宰の「織田くんの死」を朗読することで、その生への姿が後半に描かれているのもいいし、生きたがっていたおださくが堕ちた先で、首つり自殺しようとする描写も、うまくこの前半部分の回収となっていた。
 しかもおださくが堕ちても、安吾が「生きてるか?」と声をかけたことで自殺を思いとどまるのも凄く好き。おださくが堕ちても、安吾が精神的に助けてくれるし、檀が物理的に助けてくれる。そして太宰は1番の理解者として存在する。

 

 最後にこれだけ言わせてください。
無頼派サイコーかよ!4人が出会うのを待ってます」

 

【3/3 アフターイベント@白樺派レポ】
 興奮気味に登場する谷さんと杉江さん。 
 杉江さんはセットに登って「いいだろー。出てないのにセットに立てるんだぞ」みたいな風に観客にマウント取ってきて、それを大人しくさせようと連れてく(連行する)谷さんのコンビが、大好きな白樺派を垣間見た感じで凄く嬉しかった。 
 その後、杉江さんがうろうろしないように谷さんが椅子に座らせるんだけど、そのせいで足元の水が溢れてしまい、あわあわするお二人。 
 2列目センブロから見てたら、ペットボトルのキャップの部分に穴が空いてて杉江さんのはブルーのストローが刺さってた。 ちなみに事前にスタッフさんから「水に注意してください」と言われてたらしい。『そういうことかぁ』と理解されていた。 司会役の陳内さんは水が不安なので準備してない、という話から、谷さんの文劇愛語りが始まる。 
 杉江さんが話し出そうとしても、谷さんがめちゃくちゃ熱く陳内さんに語るから業を煮やして「もうっ、さっきから俺が話そうとしてるのに谷やんばっかり。しかも質問に答えてないし」みたいな風に言うのがめちゃくちゃ可愛かった。 谷さん曰く「ちゃんと1から5まで全部繋がってて6なのがすごい!」って言ってて、館長が今回の文豪達を嬲り殺す方法が3のキャストの影なのも指摘されてて、さすが文劇愛に溢れてると思った。 
 谷さんが陳内さんに「あれだけ動いて元気なのすごい」って言ってたのに「十数公演やってるから」とサラッと言ってのける陳内さん。只者じゃないオーラがすごかった。 
裏を返せば谷さんと陳内さんは同い年なので、文劇2をやった時は陳内さんより谷さんは若いはずなのに、相当しんどかったんだな、というのを感じられた。 
当時のカテコのコメントでも「しんどい時こそもう一歩」って谷さんはよくおっしゃってたし、文劇2が至上主義の私は当時のことを思い出して、泣きそうになってしまった。 
 元気マシマシドリンク飲んでる疑惑になって、オダサクじゃなく陳内将が飲んでたら大変ってくだりから、やっぱりブログで考察した通りあれは公式でもヒロポンなんだな、と思った。 
 小坂くんの日替わりネタ話。 
 2人とも頑張って理解しようとしたけど「昨日のご飯を明後日決める」って言われて、さすがに理解できない、小坂くんはそういう子。天然って言ってた。 
谷さんが「小坂くんは天然で、大志は養殖」って言ってて、怒る杉江さんが可愛かったぁ。 それに杉江さん顔ちっちゃ!隣に座って仲良くなった方も言ってたけど、ふわふわ髪型のせいか、顔が豆粒でした。
 今でこそ話せる裏話。 
 谷さんも杉江さんも無くて笑った(笑) 
 けど、文劇2推しとしては、めちゃくちゃ聞きたい質問だったよぉ。 後からでもいいので思い出したら書いて欲しい。 
 吉谷さんについて。 
 杉江さん曰く「椅子に座ってない。立ってる。(恐らくミザンスの時、少し動いて、また少し動いて、もう一度動く動作を真似し)結局同じところに戻ってる」って言ってた。 あと、効果音が多い。シュバーンなど。文劇2の時はドクンもあったけど、文劇6ではドクンは無かったらしい。 
 谷さんと佐藤さんの関係。 
 谷さんが文劇3を観劇しに行ったらあまりに凄くて、佐藤さんに長文LINEを送った上、3が良すぎてまた観劇しに行って佐藤さんにLINEしたらしい。そしたら佐藤さんから「今日、来るんですか?」と面倒臭そうに言われて、谷さんも「(アフト出るんだから)そりゃ来るわ!」ってなった話をしてたら、杉江さんが「いーなー。仲良しアピール。そういう風にすればいいのか」みたいなちょっと拗ねて羨ましがる感じだった。 
 佐藤さんのギア。 
 お二人とも「佐藤さんの戦闘シーンがすごい。計算されてる」っておっしゃってて、杉江さんも「今までが100だとしたら、(最後の無頼派とのシーンは)120%だもん。ギア一段上げてきてる」って言ってた。確かに観ててあそこの盛り上がり方はほんとやばいと感じた。 
 陳内さんとマヒロさんの関係。 
 陳内さんがマヒロさんの紹介をする時に、谷さんはカエルポーズ(それはましろさん)、杉江さんは「袖のない…」(それはそりさん)でお互い違うキャラをあげたうえ、陳内さんが優しく説明してくれてた。けど、杉江さんは「マヒロが2人いるの?」と混乱されてて、手を使って「マヒロとましろ」って理解されてた。 マヒロさんは大阪の方らしく、東京公演から日にちが空いたので、陳内さんはマヒロさんに大阪弁指導をうけてたとのこと。 
 オーディオコメンタリーの話。 
 谷さんが「俺、みんなと一緒に見たいもん。そんで一時停止して、ここがこうだったよね。って感想を聞きながら見たい」って言って、そこからオーディオコメンタリーの話になり、観客からめちゃくちゃ大きな拍手が上がったので、ぜひ公式さんは特典でつけてください。お願いします!やっぱり谷さんは文劇を愛してくださってて、我々オタクの代表みたいなとこあるから推せる。作品ファンとしては、キャストの方が作品を愛してくださってるの、めちゃくちゃ嬉しい!! 
 白樺派の話。 
 谷さんが「無頼派カッコいい、白樺派も里見弴が揃ったから4人でやりたい」って言って全力で頷いて拍手したよね。 陳内さん曰く「名前(三羽烏アタック)はダサいけどね」って言うのに対し、谷さんが「俺らは双筆神髄か」ってサラッと出てくるの、舞台ではこのセリフないからちゃんとゲームもやってらっしゃるんだなぁって思った。 
でも4人なのでどうしようってなった時に、杉江さんが「ダンゴムシアタックでよくない?ダンゴムシがころがってんの」って言ってて、谷さんの杉江さん回収が大変そうだった(笑) 
 椅子の話。 
 「あの椅子どうなってるの?毎回同じ椅子なの?」という質問に対して、陳内さんが「簡単には取れないようにはなってるんですけど、力を入れたら壊れるようになってます。その日によって壊れるタイミングが違うからそこはアドリブで」みたいな風に言ってました。確かに公演ごとにあの椅子が壊れるタイミング違ったし、その場その場で対処する小坂さんと陳内さんの阿吽の呼吸が観れるのも舞台ならではだなぁと思った。 
 【ベルの音が鳴る】※〆る合図 
 谷さんが陳内さんのブーツに興味を持ったみたいで、見せてもらってた。 特注で作ってくれてるけど、めちゃくちゃ滑るらしく、文劇1?2?のゲネプロで谷さんはめっちゃ滑ったとのこと。 
 そういうの、そういうのを、さっきの裏話でもっと聞きたかったぁ。結果、裏話が聞けて良かった! 
 機材の関係で私の座席からは少し見えにくかったんだけどヒールがあるから、動きにくそうだった。 陳内さん曰く「運動靴の方が動きやすいけど、覚醒して運動靴で出てきたらカッコ悪いやん?」とのこと。確かに。でも出演された方から見ても動きにくい衣装なのに、あそこまで動けるの凄すぎるー。 
 谷さんだからこそ出来る視点のご質問ありがとうございます。 
 【ベルの音が鳴る】※〆る合図2度目 
 杉江さんがベルの音に反応して「チンチンチン、武者」のやりとりを思い出して言ってくれたの嬉しかったなぁ。 文劇のあのシーンめちゃくちゃ好きなので! 
 杉江さんが「明日も見にくるよって人」「明後日も見にくるよって人」って手を挙げるよう言ってて、やたらと「後2日しかないんだよ!もう2日しか観れないんだよ」って熱く語ってた。 そこからの司会役陳内さんの「大志が言ってくれたけど、外ではリピーターチケットも販売しております」の流れがよくできてんなぁと感心しました。 
ここは流石に打ち合わせした?  
 
【3/4 アフターイベント@無頼派レポ】

 小坂さんの天然ふわふわ司会っぷりに、会場の雰囲気が終始めちゃくちゃ和やかでした。 まず最初に小坂さんが司会のボード持って出てくるんだけど、トイレに行ってるお客さんがたくさんいてて「ゆっくりでだいじょぶだから」みたいな風に一人一人遅れてきたお客さんに柔らかく話しかけてて、これが小坂さんの性格なんだなぁ、って思った。しかも陳内さんと赤澤さんの登場を促す時に「陳内将役の…」って言っちゃうし、どっちから2人が出るかわからなくて上手と下手をキョロキョロするのも可愛かった。  2人も「安心して任せていいの?」って言ってたし、赤澤さんも「司会変わろっか?」って心配してるのも3人らしいやりとり。 
 なのに、赤澤さん、自己紹介の時に「だんかじゅお」って言っちゃって、陳内さんに「ガジュマルみたいなの出てきたね」って突っ込まれてた。 
 マチソワ間の話に。 
 東京以来、久々の2回公演。 3人とも一回感情をリセットしないとできない。赤澤さんの手の動きがガス栓を占める動きで陳内さんに突っ込まれてた。 
 陳内さんと赤澤さんは2人楽屋だけど、陳内さんがうるさくて眠れないらしい。陳内さんも寝てる時もうなされてて、うーうー言ってて自分の声で起きたら、赤澤さんがいびきかいて寝てた、って言ってた。 それくらい大変な舞台なんだろうなぁと思いました。 
 お客さんに見て欲しいシーン?頑張ったシーン? 
 ※小坂さんの説明がふわふわしてて頭に入ってこない(笑) 
 赤澤さんは、後から文劇キャストとして入ったので、元々自分はみんなと打ち解ける性格だけど、それだと檀のポジションと違うので難しかった、みたいな話。
 陳内さんは太宰治の影を追う、存在を意識しながら演技をしていて、それがなるせさんと吉谷さんに伝わったのが嬉しかった、みたいな話。 その時、隣に自分もいて聞いてたって小坂さんもフワッとアピールしてた。 
 小坂さんは自分の中でかなりセリフが多い舞台だったので、セリフを覚えるのが大変だった。って言ってて陳内さんが「でもりょうたろう『台詞覚え付き合いますよ』って言うんですよ。優しいでしょ?自分も覚えたかったんだろうね」って言ってた。 
 やっちまった出来事。 
 赤澤さんは「言える範囲でだけど、白秋さんの顎鼻額を一回斬ってる。佐藤さんこんな顔(顔真似)してた」とのこと。
 陳内さんは「お味噌汁あるじゃん?ポットで、ロック解除を押して給湯なのに、給湯押してロック解除を何度もやっててお湯が出なかったら赤澤が『きしょっ!』って言ってきた。疲れてたんだろうね」とのこと。 
 小坂さんは……思い浮かばない、みたいな顔してたら2人から「そのパネルの下に隠してる部分(骨折した指)あるじゃん」って突っ込まれてた。「みんな優しいんですよ。左手しか使えないから、殺陣師さんも殺陣を付け直してくれて、相手の人も早入りして練習付き合ってくれて」と、文劇スタッフキャストの優しさを語ってくれてた。 
 お互いの好きなシーンを言う。 
 陳内さんから赤澤さんへ。 最後、堕落した時に赤澤さんが館長と戦ってるシーンで言うセリフが背中を押してくれる。元々あのシーンは演出が違ったけど、話し合う中で決まっていった。あのセリフがあるから覚醒できる、みたいな話。 
 赤澤さんから小坂さんへ。 最後背中合わせで回想シーンになる時、「なぁ檀」のあのセリフが1番好き。なんなら最初の時が1番好き。照明もBGMもついてない時が1番好きだった。っていういい話だったのに、最初「『なぁだん』の8文字?」って言ってて、陳内さんに「4文字だよ!」って突っ込まれてた。 
 小坂さんから陳内さんへ。 檀について、上手の階段で2人で話すシーンの時に、陣内さんの演技が日によって違うところ。今日も演技を変えてきてた。それに対し陳内さんも「今日は顔を見るようにしたら、ちゃんとりょうたろうは顔を見て返してくれて生きてるって感じがした。(りょうたろうの)センス」って言ってた。陳内さんは褒めるとき「センス」って言うらしい。裏では方言が出ちゃうけど、それはアフトではナイショっぽくしてた。 
 無頼派の雰囲気がキャストとキャラで全然違っていて、それもまた魅力的な3人だなぁと思いました。 

 

以上、大阪アフターイベントでした。

 こんな長い考察&感想文なのに最後まで読んでくださってありがとうございました。文劇大好きだ―!!