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ミュージカル封神演義感想5(聞仲戦~まとめ)

【聞仲戦】
聞仲が出てくるときに流れるBGMがやばい。
重厚な音が腹の底に響き渡って不安感が煽られるし、重い空気で息苦しくなりながら見てた。
聞仲戦は絶対舞台に足を運んで生で見て欲しい。
画面じゃ伝わらない生の迫力があった。
聞仲が「殷は何度でもよみがえる!」って歌う中に絶対的な忠誠心が感じられて、普通にセリフを言うんじゃなく歌だからこその圧倒的な迫力が伝わってきて『これがミュージカルの魅力か』と思った。
畠中さんの聞仲だからこそ、圧倒的な強さを持つラスボス感が表現できたし、物凄い最後の見せ場になった。
畠中さんをキャスティングした人、天才だと思う。畠中さん以外の聞仲は絶対見れないもん。
畠中さんは初2.5次元だったらしく、お仕事引き受けてくださってありがとうございます。感謝ですよ。

哪吒や楊戩という各キャラが”個々に”順番で聞仲に戦いを仕掛けて行って、次々とやられるのね。
これって仙界大戦の伏線じゃない?って思った。
仙界大戦で太公望は「全員で一点集中で聞仲に攻め入る」って言う指示を出すのは、この戦いで個々に戦って負けたからか、ってなった。
原作では、聞仲戦は回想シーンで描かれてるからそこまで読み解けなかった。
ミュージカルを見て初めて伏線だったのかって気づきました。

太公望が「まだ何も準備が出来ておらぬ」って言って打神鞭を一瞥するのは、十二仙ともまだ協力体制を確立できてないし杏黄旗になってないっていうこと?
深読みしすぎかな。

太公望の考え方は「人間界を混乱に貶めているのは仙道」
聞仲の考え方は「人間界を導いているのは仙道」
原作では2人のここまでの思想については描かれてなかったから、二人の思想の対立がすごくわかりやすかった。
このセリフを足したことによって、見てる側は互いの思想を理解した上で、それぞれの確固たる信念のために戦ってるんだってわかるから、余計胸に響いてくる演出になってた。

太公望を守るために飛虎、哪吒、楊戩、天化、武吉が太公望の前に立つのが、聞仲が一人になってしまったことを表現してて、聞仲の寂しさ故に一層確固たる信念を強固にしていく姿が描かれていた。
原作だと一人ずつのコマが順番に描かれるけど、舞台だから全員が太公望の前に立ち塞がって、聞仲から太公望を守ろうとしている全体の光景が見れるの。素晴らしい。

そこから太公望が幼少期に見た人狩りの光景と、現在の仲間がどんどん倒れていく光景が上手くリンクして、ここからの太公望の感情の爆発具合が凄い。

幼少期を思い出して立ち上がるんだけど、「誰のせいでこんなことに」っていう言葉がフラッシュバックして倒れかけて、それでもまた仲間から過去にかけられた言葉を思い出して、再び立ち上がって、でもまた「知恵や人情では乗り切れないかもしれない」という言葉で再び倒れて、でも最後の最後には「誰も殺させぬぞ!!」って叫んで仲間を守るために戦うあのシーンは息が出来なくなった。

太公望の感情が見てる側に殴りかかってくるようにどんどんぶつかってきて、涙を拭う余裕もないぐらい一つも見逃さないよう必死に見届けた。
橋本君の演技力がすごすぎるし、こんなにも太公望の感情が表現できるのか、って見てて頭がおかしくなりそうだった。

原作だと聞仲戦は回想シーンで描かれてるから、読み手としてはちょっと冷静な感情で読めるのね。
でもミュージカルは四聖戦の勢いのまま聞仲戦が始まるので、見てる側もどんどん感情が高ぶって行って、盛り上がった感情のまま聞仲戦を見る流れになる。
そこで、太公望が幼少期から今までのフラッシュバックを乗り越えて、それでも仲間を守るために戦う姿が描かれてるから物凄い迫力だし、でも聞仲には勝てなくて、その場に倒れて「わしはここまでなのか」って血を吐くシーンは胸がえぐられそうになった。
あの最後の聞仲戦は本当に素晴らしい終わり方でした。

 

 

~最後に~
原作の魅力は、宝具を使った華麗な頭脳戦と、素晴らしい伏線回収っぷりだと思ってるのね。
でも舞台だと時間に限りがあるから、どうしても原作の魅力が上手く伝えられない。
そうなってくると、封神演義をミュージカルでやることの意味ってなんだろう。
ミュージカル封神演義の魅力ってなんだろう。
って思いながら千穐楽を見てました。

ミュージカルの中で繰り返し歌われている「生きてさえいれば」という言葉。
この言葉は太公望の生き方を表す言葉で、この言葉こそがこの作品のテーマなのではないか。
<生きてさえいれば失敗してもやり直せる>
<生きてさえいれば前を向くことが出来る>
<生きてさえいれば一歩を踏み出すことが出来る>
それらの想いが、圧倒的熱量を持った歌声と共に客席に届けられた時、「生きてさえいれば」という言葉が胸の奥にズドンっと刺さったの。
そして私の中でミュージカル封神演義の答えに辿り着きました。

ってか、そうなってくると、今後の展開が…。
「生きてさえいれば」というテーマすら、続編への伏線なのかもしれない。


最後に真面目な事も書いたけど、私はやっぱり太公望が、そして封神演義が大好きだー!!